明治元年(1868年)創業の青島酒造。現蔵元社長の青島秀夫氏で4代目となる老舗の蔵です。創業後の銘柄は「菊水(きくすい)」でしたが、他の蔵との混同を避けるため「喜久醉(きくよい)」に変え、現在に至ります。

大井川水系の名水を仕込み水に使用

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青島酒造のある地域は大井川水系の南アルプスの伏流水として恵まれ、同蔵も大井川の伏流水の井戸水を仕込み水として使用しています。また、大井川により運ばれた土壌の堆積による肥沃な大地が江戸時代、新田開発が盛んになり、付随して酒造りも行われるようになりました。

「静岡酵母」の父・河村氏から英才教育

同蔵は平成16年から青島孝専務が蔵元杜氏として腕を振るっています。孝氏は金融マンでしたが1996年に蔵にもどり家業を担うことになります。

秀夫社長の代から、「静岡酵母」を開発した河村傳兵衛氏の指導を受け、酒質を上げてきた喜久醉でしたが、孝氏も傳兵衛氏の指導を長年にわたって受け、洗米の仕方から基本から叩き込まれました。河村氏の三大弟子のひとりに数えられるようになり、孝氏は3人目なので「傳三郎」の杜氏名を授かりました。

喜久醉には3つのモットーがあり、静岡型の酒造り、手造りによる酒造り、米作りからの酒造りだそうです。酵母は静岡酵母のみ使用、「安い酒こそ丁寧に」と普通酒にも手を抜かず冷蔵管理され、現在は地元篤農家の無農薬山田錦を使用するなど、酒米からこだわりを見せています。

食事を引き立たすハイレベルの食中酒

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この純米吟醸は兵庫県産の山田錦を50%まで精米され醸されています。静岡酒らしい、控えめながら柔らかな旨みと丸みを感じ、滑り良く綺麗に切れていきます。

冷やすより常温でそのやわらかさと米の旨みをより感じることができます。食事の邪魔をしない脇役型の、呑み飽きしないタイプの美酒です。ぬる燗にしても楽しめるでしょう。淡白な味わいの食事に合わせると最高のマリアージュになります。日本酒初心者の方にもおすすめです。

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