良質な仕込み水に恵まれた蔵

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明治27年(1894年)創業。平成17年(2005年)、周辺5市町村が合併してできた十日町市の中央を流れる信濃川が作り出した河岸段丘に蔵はあります。創業から赤松林の山の横井戸から軟質で酒造りに優れた良質な地下水が湧き出ている酒造りに最適の地です。会社名も銘柄名もこの名水に由来してつけられています。

十日町は県内でも有数の豪雪地帯であり、越後の人々は今も昔も冬は雪との戦いです。ですが、この雪が清酒造りには天の恵みとなります。大量の雪が山の地面から地中に滲みこみ、時間をかけて濾過されながら地下水となり最高の仕込み水となります。新潟県に90以上もの蔵が集中している一因だと思います。

酒造りへの5つのこだわり

同蔵には、この名水を生かすために5つのこだわりがあるといいます。

1, 笊(ザル)による米の手とぎ
2, 昔ながらの和釡での蒸米
3, 機会に頼らない麹造り
4, 泊まり込みによる醪管理
5, 吟醸酒以上の酒はすべて槽搾り

にこだわっています。それらをあわせて「酒造りはさまざまなものとの戦いである」としています。

極寒の蔵内での作業、冷水での秒単位での洗米作業、仕込み温度の管理。麹の種付け温度、発酵中の醪の温度管理、蒸米のさらし時間、製麹の時間などを挙げています(蔵元HP引用)

これらがしっかり行われて初めて、蔵元が目指す、呑んだ人をうまいとうならせる銘酒が出来上がるのです。その成果は平成22年の全国新酒鑑評会から今年度まで毎年、金賞受賞という快挙に表れています。

現在でも地元民のための酒造りにこだわり、生産石高の50%が普通酒で、約7割が十日町市に流通する「地元酒」でもあり、普通酒から手作りにこだわっています。

端麗辛口ながら味わい深い銘酒

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この純米吟醸は山田錦を50%まで精米し醸されています。新潟清酒らしく、淡麗辛口ながら、上品な香りと、米の旨みがにじみ出てくるような奥深さが味わえます。山田錦のバランスの良さやふくらみをジワジワ感じ、品があり味わい深い、食事に合わせて何杯も呑み進めてしまう、ハイレベルな晩酌酒だと感じます。

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