米どころ庄内地方・酒田の老舗蔵

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楯の川酒造が蔵を構える酒田市は、県内有数の米どころ・庄内地方にあり、その米や水に恵まれた酒どころでもあります。天保3年(1832年)、上杉藩の家臣が庄内の水質の良さに注目し、佐藤家五代目の佐藤平四郎氏が酒造りを進め、同氏は酒母製造業を開業。そして安政元年(1854年)に酒造業を開業したと言われています。翌年、荘内藩藩主に酒を献上し、現在の銘柄「楯野川」に命名されたとのことです。

山形県初の全量純米大吟醸酒の蔵に

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現蔵元社長・佐藤淳平氏は東京農業大学の醸造科学科を卒業後、神奈川県の酒販店などで修業し2001年に蔵に戻ります。最盛期は3000石を誇った同蔵は経営不振に陥り、当時はわずか100石ほどの生産量だったとのこと。そのため、淳平氏が「良い酒・美味しい酒」を追求し、問屋に頼らずに特約店と直接取引すべく立ち上げたのが「楯野川」ブランドでした。平成22醸造年度(22BY)には本醸造酒もやめ、すべて精米歩合50%以下の純米大吟醸酒に切り替えました。吟醸王国の山形県でも初めて、全量純米大吟醸酒を醸す蔵となったのです。翌23年には淳平氏自らが杜氏となり、こだわりを持って酒造りを続けています。

使用する酒米は地元契約栽培の出羽燦々と美山錦、そして山田錦が中心です。また、ヨーグルトや山形産フルーツの果肉をたっぷり使用したリキュール「子宝」シリーズは、日本酒ファン以外の女性にも大人気です。

大人気の「たてにゃん」ラベル第二弾

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「たてにゃん」は蔵に迷い込んで、突如住み着いた雌猫がモデルとなっている、蔵の公式「ゆるきゃら」です。Facebookツイッターインスタグラムも開設していて、大人気。今回の「vol.2」は、たてにゃんがたくさん描かれて人気を博した「vol.1」のひやおろしバージョンです。たてにゃんの幸せそうな月見酒のラベルに癒されます。日本酒にも個性的なラベルが増えてきましたが、癒され度ならトップクラスでしょう。

味わいも、ひやおろしらしく、繊細ながらまったりした味わい。入りはキャラメルや蜂蜜のような香りやトロンとした甘味を感じ、上品かつ、昔のドロップのようなフルーティーさ、ベリー系の含み香も感じ、後口も穏やかに切れていきます。これは和食や洋食よりも、スイーツ系に合いそうですね。タルト系のケーキ、白玉団子、または胡麻団子などに合いそうです。初心者の方も入りやすいように、たてにゃんラベルのお酒を醸したとのことですが、狙い通り、若い女性や初心者にも親しみやすい優しく華やかな酒質だと思います。

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