東京駅直結の新丸ビル7階に、コンセプトバー「獺祭BAR marunouchi」がオープンしました。

2020年10月1日のオープンから1年半の期間限定店で、「獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分」のロックを中心としたさまざまな種類の獺祭が楽しめるほか、オリジナルの“光るグラス”でお酒が提供されます。また、内装デザインにもこだわり、獺祭の世界観「人が主役」を表現しています。

9月23日に行われた旭酒造の桜井博志会長と桜井一宏社長、建築家の川添善行さんの会見とともに、「獺祭BAR marunouchi」の楽しみ方をお伝えします。

「元気な東京の夜を取り戻したい」

獺祭バー 会長

旭酒造 桜井博志会長(右)と建築家 川添善行さん(左)

このコンセプトバーの企画が上ったのは昨年秋ごろ。東京オリンピック・パラリンピック開催時に海外の観光客が多く集まることを想定し、2020年7月にオープンする予定でしたが、オリンピックの延期と新型コロナウイルス感染拡大によりオープンを見合わせていました。

しかし、プロジェクトを再開したのは、「元気な東京の夜を取り戻したい」「飲食店に恩返ししたい」という旭酒造の強い想いからでした。

獺祭バー イベント

「獺祭BAR marunouchi」では、獺祭の代表とも言える「獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分」をロックで楽しめます。この「獺祭ロック」のおいしい飲み方は「大量の氷、少しの酒、3口で飲むこと」と、桜井会長。

獺祭バー 獺祭ロック

氷で冷やされたことにより、華やかな香りが抑えられて味がキュッと引き締まったように感じます。ですが、口に含むと、体温で香りと味わいが広がってくのがわかります。

獺祭バー 酒粕卵

酒粕を使った「だし巻きたまご」や「酒粕とアンチョビのトースト」、山田錦を使った「揚げ団子」など、お酒に合うフードも提供。週末には、旭酒造の社員が参加し、ここでしか楽しめないお酒を提供したり、音楽なども絡めたイベントも企画したいと意欲をみせてくれました。

3つの想いが込められた内装デザイン

「獺祭BAR marunouchi」の内装をデザインしたのは、丸の内ハウス内「現バー」のインテリアデザインも手掛けた建築家の川添善行さん。この店舗を担当するにあたり、3つのコンセプトを考えたそうです。

獺祭バー 入り口

ひとつ目は 「建築家から見る獺祭」

桜井会長と都市についての話をしているとき、「獺祭は広場なんですよ」という言葉を聞き、その一言に尽きると納得したそうです。

「獺祭は、酒造りが最終目的ではなく、人と人の繋がりを生み出したいのではないかと考え、それを表現できる空間を作りあげました」と川添さん。

ふたつ目は 「民主的な建築の可能性」

「最初に箱があり、そこに人が入る。建築家は箱を造ってなんぼというところがあります。しかし、箱が人を規定するのではなく、人のあり方が空間を決めるという発想にしました。人が主役であり、人に足りないものを加えていくんです。たとえば、足元をほのかに照らす明かりであったりですね」

なかでも店内で特にこだわったのが、テーブル。獺祭のボトルが非常にこだわりを持って作られたと聞き、ボトルを逆さまにしたときの首のカーブと同じラインでデザインされています。

獺祭バー テーブル

みっつ目は 「現代都市へのメッセージ」

「今は24時間営業のお店やコンビニなどもあり、街に暗闇がない時代です。明るい環境ばかりでは自律神経にも良い影響をあたえません。たとえば、まだ電気がなかったころには、ろうそくの火に照らされた金屏風の美しさが感じられたと思います。そのように暗闇の中にも美しさを見出して欲しいんです」と川添さんは話します。

獺祭バー 光るグラス

さらに提供するグラスにもこだわりがあります。

川添さんが旭酒造のある山口県岩国を訪れた時、山々に囲まれた風景を見て、夜には蛍が飛び交うのだろうと想像したそうです。そこから発想を得て、底が発光するオリジナルグラスを開発しました。

このグラスを持った人たちが集まり、この光で店内が照らされるという仕組みになっています。人が動くことにより、刻一刻と光の様子が変わるのが美しいですね。

「丸の内」という街のハブとなる場所に

獺祭バー イベント

桜井一宏社長は、この時期に新しい店舗をオープンすることに対して、マーケティングの視点だけでその効果を語ることは難しいと話します。

「ほかの飲食店の方にも『この時期に本当にオープンするのか?』と聞かれたほどです。獺祭BAR marunouchiの楽しみ方はこの店だけで完結するわけではなく、丸の内のほかの飲食店を訪れるときの0次会や、飲み終わりの最後の一杯などで活用してもらることを想定しています。こうやって人が動くきっかけをつくり、街や飲食店のみなさんに恩返しができればと思っています」

「獺祭BAR marunouchi」は、「獺祭」をきっかけに人と人とが出会っていき、新しいアイデアが生まれていく、丸の内という街のハブとなる場所でした。獺祭の世界観が表現されたこの空間を楽しみに、丸の内をぜひ訪れてみてください。

(取材・文/まゆみ)

◎店舗情報

  • 店舗名:「獺祭BAR marunouchi
  • 住所:東京都千代田区丸の内1-5-1新丸の内ビル7F 丸の内ハウス
  • TEL:03-3211-6999
  • 営業時間:17時〜24時

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